2019年春に公開の「ダンボ」実写映画によって、本当に実在したサーカス象「ジャンボ」の悲しい一生に注目が集まる。
海外メディア『The Sun』の見出しに「本当に実在したダンボの悲しい真実、コインを飲み込まされアルコールを飲まされ、貨物列車に追突されて亡くなった象」と、あった。日本でも象の花子が有名だが、アメリカのサーカス団に花子のように悲しい一生を送った象がいた。
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●「ジャンボ」は何百万人もの人を魅了し、ディズニーのダンボにひらめきを与えたスーパースターだった。
ここ最近、いくつかの海外メディアが、この「ジャンボ」について記事を載せている。ディズニーの「ダンボ」のオリジナルストーリーは、大きな垂れ下がった耳を持って生まれてきたダンボはその耳のせいで、サーカスの動物達スタッフにバカにされてしまう。
しかし後にその耳で空を羽ばたけるようになり一躍サーカスの人気者となるというストーリーだ。ちなみにダンボの母親である象の名前は「ジャンボ」という。
ディズニー映画「ダンボ」が最初に公開されたのは1941年のことだった。ところがその約80年前の1860年にアフリカゾウの「ジャンボ」というサーカスの象が実在した。ジャンボの一生は、ダンボのストーリーとはかけ離れたものだった。
ジャンボは北東アフリカに位置するスーダン共和国で1860年の12月に生まれた。しかし生まれて間もなく母象がハンターに撃たれてしまった。ジャンボの目のまえで母親は殺され牙が切り取られてた。
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●ジャンボの行方は?
ジャンボはそのままハンターに生け捕りにされイタリアの商人に売られてしまった。後にフランスに輸送されパリの動物園で過ごしたあとロンドン動物園へと移された。その時に初めて「ジャンボ」という名前が与えられた。ジャンボはスワヒリ語で「こんにちは」の意味を持つ。
ジャンボは来園した子供達を背に乗せて園内を散歩することでイギリスで有名な象となった。ロンドンでジャンボの所有者はマシュー・スコット氏(Matthew Scott)という人物だが彼の自叙伝には当時のジャンボの様子が記録されている。
ロンドン動物園で子供達の人気者として暮らしていたジャンボだが1882年2月に米最大のサーカス団「バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」への売却の話が出始めた。
この話を耳にした、地元の子供達、約10万人からビクトリア女王にジャンボを売却しないようにとの嘆願書が送られた。またロンドン動物学会からも「動物の売買は家族の売買と同等であることを訴えていたが結局動物園側はサーカス団に当時の金額で2,000ポンド(約29万円)でジャンボを売り渡してしまった。
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●ジャンボは酒漬けにされる。
ジャンボはロンドンからアメリカへの旅中、落ち着かせるために毎日のように鎮静剤がわりにウイスキーやシャンパンを浴びるほど飲まされていた。アメリカ到着後、ニューヨークの公演では約3週間ほどでジャンボを購入した以上の収益を取り戻せるほど人気を集めた。
また、会場には観客から投げ入れられたコインやオモチャなどを口にして飲み込む癖がついてしまっていたがサーカス団員はこれを止めようとはしなかった。これは後に亡くなったジャンボの司法解剖によって胃にたくさんの異物が発見されたことで明かになった。
ジャンボのストレスは相当なものだったようだ。自傷行為が始まり自分の牙を石などに打ちつけて折った形跡が見られたという。そしてサーカス団に入って3年後の1885年、ジャンボは列車事故のため25歳でこの世を去ってしまった。
ジャンボは亡くなる前に病気に苦しんでいたという。そしてカナダのオンタリオ州で公演したショーが終わり、サーカス団が所有している貨物列車にジャンボとトム・サムという小さな象が一緒に乗りむ予定だった。
しかしその列車が徐行せずに2頭に向かって突進してきたのだった。サーカス団側の話ではジャンボはトム・サムをかばおうとして自ら列車に突進してきたと話している。
しかし、今回BBCでジャンボについてドキュメンタリー番組を制作しているプロデューサーでもあり放送作家でもあるデイビッド・アッテンボロー氏(David Attenborough)は「写真を見る限りではジャンボの後ろのほうが傷ついているため列車が彼の後方に突進してきたのでは」と話している。
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人間の欲は計り知れないものでジャンボは亡くなったあとも安らかに眠る事ができなかった。彼の遺体は保存されニューヨークの祭典で4年間、パレードに借りだされた。
唯一、ジャンボが残したものは彼がいたリングリング・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス団が昨年2017年に150年の幕を閉じたことだ。当時のニュースでは「ゾウのショー中止が痛手」とあった。
ジャンボの存在がサーカスで犠牲となる象を無くしたともいえよう。
【参考サイト】
◆The Things/YouTube
◆The Sun
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